2018.8.15行動【報告】「明治150年」天皇制と近代植民地主義を考える8.15 行動

今年の反「靖国」行動は、2.11反「紀元節」行動、4.29反「昭和の日」行動に引き続き、「明治150年」を射程にして取り組まれた。

■パネルディスカッション

集会では、四人のパネラーから問題提起が行われた。

酒田弁護士は、来るべき二〇一九年の即位・大嘗祭を見据えて報告。「三〇年前の即位・大嘗祭訴訟では『一切の儀式・行事に国費を支出してはならない』などを請求した。大阪地裁(一九九二年)・高裁(一九九五年)は、政教分離について疑義は一概に否定できないと認めた。さらに天皇の即位を祝うことについて、個人が祝意を表すことを国家が事実上にしろ強制すれば、私人の思想、表現の自由の侵害になると認めた。しかし、控訴審判決では控訴人らの訴えを全面的に退けた。今回は退位の礼もあり、すでに過去の批判を踏まえた上で実施が検討されている。だから現時点における訴訟の論理構成として(1)政教分離、(2)主権在民、(3)納税者訴訟、(4)天皇代替わりの手続きの問題を取り上げ、批判していきたい」と述べた。

黒岩さん(「北方領土の日」反対!「アイヌ新法」実現!全国実行委員会〈ピリカ全国実〉)は、八月五日の「天皇出席の『明治・北海道一五〇年式典』反対、アイヌ民族連帯決起集会」とデモの取組みを報告し、「式典はアイヌモシリ(北海道)の侵略・植民地化、アイヌ民族同化・抹殺政策の歴史の隠ぺいだ。天皇制国家による他民族侵略・支配の『原型』としてのアイヌモシリ侵略である。私たちは、この開拓史観、民族排外主義が問われている。『明治一五〇年』式典から天皇退位・即位式典とうち続く天皇制永続化攻撃と対決する統一戦線を構築しよう」と呼びかけた。

井上森さん(元号いらない署名運動)は、「署名は五〇〇〇筆を突破し、一万筆目指してさらなる行動をしていきたい。当初、
二〇一八年夏に『新元号発表』だったが、自民党保守派などの反発もあり代替わり一カ月前に延ばした。すてに大迷惑な状況が発生しているが、中央官庁、JR、警察らは書類、コンピューター、免許証などでは元号を使わず西暦で統一化している。元号をめぐって天皇明仁は沈黙し続けている。その一方で『平成のうちに』ということでオウム大量処刑を強行している。やはり日本において最高度の国家暴力を正当化する論理は天皇制しかないことを現している。この論理を打ち破る闘いが問われているだろう」と発言した。

新孝一さん(反天連)は、「反天連第II期」(一九九一・四)のスタートをふり返り、「『国際化』時代の『ソフト』で『クリーン』で環境問題にも理解あるというイメージをふりまくアキヒト(天皇制)との正面からの政治的対決をこそ、主要課題として私たちは結集する」と位置づけ、明仁天皇制を性格、役割、犯罪性などを暴露し、批判してきたことを浮き彫りにした。そして「結論を言えば、時に強い独自性や個性を発揮して明確なメッセージを発信することもあった。明仁天皇の言動は、歴史と政治によって大きく規定され、変化する。同時に、天皇の憲法の規定とは別の役割がある。この間の天皇主導の『退位』と天皇による天皇制の再定義に現れている。三〇年かけてここに収斂し、天皇像の到達点だとも言える」と集約した。

その後の、連帯アピールでは、沖縄一坪反戦地主会・関東ブロック、日韓民衆連帯全国ネットワーク、オリンピック災害おことわり連絡会、米軍・自衛隊参加の防災訓練に反対する実行委員会から発言を受け、集会宣言(別掲)を採択した。

■反「靖国」デモ

最後には、いつものように、靖国神社に向けてデモに移った。

例年のように、規制されて進入できない街宣車から降り立った天皇主義右翼が、デモ隊への挑発と威嚇を繰り返すなかで、権力・機動隊は、右翼の突入こそ阻止はするものの執拗に繰り返し飛びかかってくる右翼を拘束しようとはせず、逆に、デモ隊列に対しては、不当な規制を行ってきた。九段下の交差点では、在特会や右翼も集まってはいたが、むしろスマホで動画や写真を撮影する「見物人」の多さが目を引いた。

私たちは、挑発や威嚇に対しても毅然と対応し、「天皇制はいらない」「戦争責任を忘れない!」「戦争賛美の靖国神社はいらない!」などをシュプレヒコールや横断幕、プラカード、のぼりでアピールした。参加者は、二五〇名だった。