2019.2.11行動【よびかけ】天皇「代替わり」に反対する2. 11 反「紀元節」行動への呼びかけ

 一一月三〇日に公表された誕生日記者会見における秋篠宮の発言は、国費を使って「公的」に行われる天皇の「代替わり」儀式がどうあるべきかということを皇族自らが語ったという意味で、「生前退位」の意向を表明した明仁の発言がそうであったように、明白な政治的発言にほかならなかった。前回の「代替わり」儀式において、「政教分離」の観点から疑義が提出され、その違憲性が訴訟でも争われた大嘗祭に関して、「やはり内廷会計で行うべきだと思っています」と秋篠宮は述べた。「大嘗祭自体は絶対にすべきものだ」が、「できる範囲で身の丈に合った儀式で行うのが、本来の姿ではないかなと思います」というのだ。

政教分離と簡素化に配慮しているかのように報じられたこの発言は、しかし、大嘗祭をめぐる政教分離とは何かというときに、それが天皇家の「私費」とされる内廷費から支出しさえすれば問題ないという解釈を、皇室の側から示してみせたものとしてとらえなければならない。しかし、政教分離は国家が宗教的行為を行うことを禁止する規定であって、それは当然、国家の機関としての天皇にも及ぶのだ。内廷費も税金であり、とりわけ大嘗祭は、新天皇に神格を付与する「代替わり」における宮中の秘儀として、きわめて大きな意味が与えられ、マスメディアもこれを大々的に報道する。内廷費であれば請求分離違反にならないなどというのは、まったくのごまかしである。

他方、政府の側は、即位の礼正殿の儀や剣璽等承継の儀などを「国事行為」として、また、大嘗祭を「公的」なものとして公費を支出する姿勢を変えようとはしない。少なくとも、大嘗祭に関してはその宗教性を国も認めているのに、「日本国および国民統合の象徴」である天皇の即位に関わる重大な儀式であるからとして、そのような行為を正当化しているのである。

二〇一九年、一年をかけて行われる天皇「代替わり」とは、四〇ほどの一連の儀式と行事の総体である。それは、象徴天皇制の下で、日常的には表に出ないで隠れている皇室祭祀が、天皇制を支えるもう一つの柱にほかならないという事実をさらけだす。日頃、明仁天皇が「護憲」天皇であると持ち上げる人々は、これを「伝統・文化」の儀式として強弁するだろうが、それが紛れもなく国家神道の儀式であることを無視してはならない。

そして天皇「代替わり」とは、このように神聖化された天皇儀式を経て、「新たな時代」の天皇制国家・日本の姿を演出する、大きな機会となるのである。安倍政権の掲げていた「改憲四項目」の国会提示は来年以降に持ち越される見込みだが、「新たな時代」の演出が、いわゆる「戦後レジーム」を最後的に解体する明文改憲への動きと連動していくことは間違いない。新天皇徳仁が、そこにおいていかなるイメージをまとうことになるのかはまだ不分明であるが、新天皇即位直後の五月に、新天皇・トランプ会見が予定されていることに明らかなように、日米同盟のもとでの戦争国家体制に、より適合的な天皇制として、その役割を果たすに違いない。

私たちは、この「代替わり」総体との対決という課題を掲げた、二〇一九年の反天皇制運動を、2・11反「紀元節」行動から開始していくべく、準備を開始している。言うまでもなく2・11は、神武天皇の建国神話に基づく天皇制の記念日だ。そして私たち反天皇制運動の実行委構成団体も合流して、首都圏において、反天皇制運動の大きな枠組みとして「終わりにしよう!天皇制『代替わり』反対ネットワーク」(おわてんねっと)も結成され、2・24の天皇在位三〇年式典反対行動に取り組もうとしている。この式典は、まさに「平成天皇制の三〇年」を向こう側から総括し、それを「国民こぞって」祝い、「代替わり」に向かっていこうという儀式となる。そして、新「元号」発表、四月三〇日の明仁退位─五月一日の徳仁即位、愛知植樹祭や秋田海づくり大会、茨城国体への新天皇の出席などが続く。新潟でおこなわれる国民文化祭は、「代替わり」後に天皇行事へと「昇格」する。そうして、秋の即位の礼、大嘗祭へと天皇行事は続いていくのだ。

次から次へと、さまざまな天皇儀式が繰り出され、天皇制が神聖かつ大切なものであるという意識が、人びとの日常意識にすり込まれる。それは、天皇の神聖性を通して日本国家の神聖性を自明のものとする、国家主義の攻撃でもある。こうした攻撃にひとつひとつ反撃し、さまざまな視点から天皇制を問い続けていこう。2・11反「紀元節」行動への参加賛同を訴える。

 

天皇「代替わり」に反対する 2・11反「紀元節」行動

【呼びかけ団体】アジア連帯講座/研究所テオリア/戦時下の現在を考える講座/立川自衛隊監視テント村 /反安保実行委員会/反天皇制運動連絡会/「日の丸・君が代」強制に反対の意思表示の会/連帯社/労働運動活動者評議会

「明治150年」記念式典反対行動【報告】「明治150年記念式典」反対10.22デモ報告

昨年の反天皇制の実行委員会は、例年取り組んでいる、2.11反「紀元節行動」、4.28─29沖縄デー・反「昭和の日」連続行動、8.15反「靖国」行動のいずれにおいても、政府による「明治150年記念事業」に対する批判を中心的な課題として取り上げ取り組みを行った。

そうした行動の積み重ねの上で、政府による「明治150年記念式典」前日の10月22日の夜に、「明治150年記念式典」反対デモを行った。

▼ショボかった政府式典

佐藤栄作内閣時代に行われた「明治100年式典」は、「昭和天皇・香淳皇后をはじめ常陸宮正仁親王・正仁親王妃華子、閣僚、国会議員、在日外交団、各界代表、青少年代表ら約1万人が出席した。/田中総理府総務長官の開会の言葉に始まり全員が国歌を合唱して佐藤栄作内閣総理大臣が式辞を述べる。天皇の言葉に続き小平久雄衆議院副議長、重宗雄三参議院議長、横田正俊最高裁判所長官、フレーチャ・トーレス在日外交団長の順序で祝辞を述べ近衛秀麿指揮のNHK交響楽団がワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲を演奏、続いて青少年代表が「若人の誓い」を述べた。/次いで、明治100年頌歌『のぞみあらたに』の合唱が行なわれる中、日本体育大学の男女学生約130人による体育演技「若人の躍動」が行なわれ、NHK交響楽団がヘンデルの「王宮の花火の音楽」を演奏。佐藤総理大臣が音頭を取り万歳を三唱」(「Wikipedia」より)という「盛大」のものであったが、今回は、東京・永田町の憲政記念館で、与野党の国会議員や各界の代表者ら約350人のみの出席で、わずか30分というショボイものであった。

この式典反対行動を呼びかけた実行委員による「呼びかけ文」(20189月発信)には、「式典への天皇の参加は、いまのところ明らかにされていませんが、今年3月の『琉球処分』の日を選んだ沖縄訪問と国境島・与那国島への初訪問、8月の『北海道150年記念式典』へ出席といった天皇の動きを見るに、この『明治150年記念式典』への参加は、おそらく間違いないと思われます(そもそも天皇が参加しない「明治150年記念式典」などありうるでしょうか?)」と書かれていたが、天皇(皇族)
の出席は実現しなかった(新聞報道によれば「宮内庁は『政府からお声がけがなかった』(西村泰彦次長)としている」)。

安倍首相の思惑と式典のショボさ(それは主に天皇の不在によるものだろうが)の「乖離」について今後も分析は必要であろう。

▼銀座に「侵略戦争の歴史に向き合え!」の声を響かせ

反対デモの集合場所となった日比谷公園(霞門)前で、まず主催が「明日、憲政会館で明治150年記念式典が行われる。今年一年、各地で色々なイベントも行っているが、ほとんどが『こじつけ』に近い、ただ単に『明治150年記念』の冠をつけたものばかりだ。明日の式典のこともほぼ知られていない。安倍首相が、侵略・植民地主義の歴史や天皇制の責任を糊塗し、天皇制国家の歴史を賛美するだけの式典となるだろう。私たちは、今年の2.11反『紀元節』行動、4.28(沖縄デー)〜29反『昭和の日』、8.15反『靖国』行動では、安倍とは逆の方向から『明治150年』の歴史を批判する取り組みを行ってきた。その成果を確認し、明治150年式典反対を訴えていこう」と挨拶。その後、「来年の3.1朝鮮独立運動100周年に向けてキャンペーン」に取り組む日韓民衆連帯全国ネットワーク、終わりにしよう天皇制!「代替わり」反対ネットワークから連帯のアピールを受け、デモに出発した。デモでは、「『明治150年記念式典』反対!」「侵略戦争の歴史に向き合え!」「天皇制国家の植民地支配を反省しろ!」「天皇制はいらない!」のシュプレヒコールを日比谷から銀座に一帯にわたって響かせた。

(実行委・K)