昨年来の「新型コロナウイルス感染拡大」状況は、なんの保障も伴わない「緊急事態宣言」が発表されては延長されるということの繰り返しで、各地で暮らす人びとの生を重く覆いつくしたままの現実が続いています。根拠も定見も持たない政策により、人びとの生存と生活を破壊するこの「事態」は、一方では政官財の新たな利権をも生みだしており、あたかも「戦時体制下」でもあるかのごとくです。
そして、この疫病の蔓延の中で、衰えた「国威」の発揚と、IOC・JOCにつながる者だけの利益確保をめざす、「オリンピック・パラリンピック」がごり押しされ、教育現場への「動員」ももくろまれています。また、これと同時に、自由を奪う軍事的あるいは治安維持的な法運用や立法が、たて続けになされつつあります。最近のものを挙げても、「敵基地攻撃能力保有」「国民投票法」「デジタル監視法」「重要土地規制法」などが、なし崩し的に進められました。こうした実質的な「改憲」のみならず、明文改憲への策動はますます強まっています。
世界的にさまざまな「不安」が蔓延し、これをきっかけにする排外主義やレイシズムが広がっています。「超大国」国内での政治対立や弾圧が、国家間の緊張関係を拡大している、このような中で、八月一五日には、またも国家による慰霊・追悼の儀式が開催されようとしています。内戦や侵略戦争などの死者を「英霊」と顕彰する靖国神社も、死者たちが「今日の平和と繁栄の礎」であるなどと虚偽で飾り立てる政府主催の戦没者追悼式も、歴史の事実に向き合わず、事実を隠蔽・糊塗することによって、次なる戦争に向けて「国民」を動員する役割を果たそうとするものでしかありません。
天皇・皇族や宮内庁は、このコロナ禍において発言の場が限られ、その「影響力」の減少を懸念しているともいわれます。「女性・女系」など天皇の継承問題や、宗教右派勢力相互の軋轢もあり、天皇制は揺らいでいます。だからこそ、天皇は八月一五日の戦没者追悼式へ出席することで、その「統合力」を誇示しようとしているのです。また、オリンピックでは開会宣言を開催国の「元首」がやることとなっており、これを天皇が行うことの問題にも、強く抗議の声をあげたいと考えます。
私たちは、こうした事態に向け、少しでもこれを押しとどめるための営為を、今年もまた持続していきたいと考えます。しかし、このかん準備された集会などは、会場を奪われることで立て続けに開催の変更を余儀なくされました。
オリンピック・パラリンピックをはさむこの時期に、集会の日程を入れることが困難となっており、そのため今年は、集会を中止し、デモに集中して、私たちの主張を強く訴えていきたいと考えています。国家による慰霊・ 追悼の欺瞞を撃つ、八・一五の反「靖国」行動に、参加・賛同を呼びかけます。