2020.8.15行動【よびかけ】国家による「慰霊・追悼」を許すな! 8・15反「靖国」行動の呼びかけ

敗戦から75年目の8月15日を迎える。75年を経ても、天皇制国家による侵略戦争・植民地支配責任は果たされることがなく、被害者に対する謝罪や補償も十分になされていない。それどころか、「徴用工」や「慰安婦」をめぐる問題の近年の状況が明らかにするように、日本政府の傲慢な開き直り、逆ギレによる、韓国・中国政府に対する攻撃的な言動によって、歴史修正主義、排外主義の跋扈を生み出している。

さらに、現在の新型コロナウイルスの社会的蔓延状況に対する安倍政権の施策は、感染防止はただひたすら「自粛」を強制するのみで、感染者したものが犯罪者であるかのように扱う社会的監視圧力(「自粛警察」)に棹さし、多額の税金が投入される「コロナ対策」も、その業務執行にあたっては不透明な組織を経由して電通やパソナなどの大企業に丸投げする利権まみれのものであることも明らかになってきている。「人の不幸」に便乗して利権を分け合う、災害便乗資本主義の醜悪な姿が露呈している。

日本社会全体においても、政府に対する批判の意思表示は冷笑・攻撃され、「自粛」への社会的同調圧力が増すばかりである。

天皇制が歴史的に果たし続けてきた役割は、社会的統合の「危機」にあたって、これを観念的な国民の共同性において緩和することの要求である。

さきの大戦における350万人もの「国民」の死に対する天皇による慰霊と追悼は、その最たるものである。この慰霊・追悼により「国民」は再統合され、天皇制の戦争責任・植民地支配責任が隠蔽されていく。先代の明仁天皇は、天皇在位の間に、この戦没者追悼・慰霊を8.15だけでなく、沖縄を含む日本全国、さらには侵略先のフィリピンや南洋群島においても進めてきた。さらにこれに加え、雲仙普賢岳噴火に始まり、阪神・淡路大地震、東日本大震災、近年における各地の豪雨災害など、自然災害における死者・被災者の追悼・慰問にも積極的であった。

しかしそれらも、被害を拡大させることになった都市開発等の施策や原発推進政策といった「人災=政策の過ち」を糊塗し、その責任に対する追及を曖昧にしながら、政権政党の政治を「情」の世界において追認していく機能を果たしているのである。そのために天皇は常に「国民」の幸せを祈り続ける、政治から超越した「慈愛」に満ちた存在として描き続けらているのだ。

現在のコロナ禍に際して、現時点において天皇のメッセージなるものは発せられていない。基本的に明仁天皇の象徴像を引き継ごうとしていると思われる徳仁新天皇が、この「危機」に際してどのような動きをして自らをアピールするのか、その動向に対しても注視する必要がある。

私たちは、今年の8・15行動にあたって、例年の靖国神社や、今年はどうなるか現時点では不明であるが、政府主催・天皇出席の戦没追悼記念式典に対する抗議行動を準備する過程で、この現在進行形の社会状況における天皇制の役割を批判的に解読しつつ、身分差別と格差社会の象徴としてある天皇制そのものを、「戦後75年」の天皇制国家の歴史的責任と重ね合わせて問題としていきたい。

参加・賛同を訴えます。

呼びかけ ● 国家による「慰霊・追悼」を許すな!8.15 反「靖国」行動

【呼びかけ団体】
アジア連帯講座/キリスト教事業所連帯合同労働組合/研究所テオリア/市民の意見30 の会・東京/スペース21/戦時下の現在を考える講座/立川自衛隊監視テント村/反安保実行委員会/反天皇制運動連絡会/ピープルズ・プラン研究所/「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会/靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動評議会