2016.8.15行動【報告】被災者切り捨ての中、「東北復興」を掲げた天皇行事をはねかえせ! 山形海づくり大会反対を闘う

三大天皇行事の一つ『第三六回全国豊かな海づくり大会〜やまがた』が「森と川から 海へとつなぐ 生命のリレー」を大会テーマに山形県庄内地方(式典は酒田市、放流行事は鶴岡市)で開催された。現地で反対闘争が準備されているので本実行委は七月一八日「海の日」に、築地社会教育会館で、会場周辺に公安がひしめく中、五〇人弱の参加を得て集会を行った。

山形の鈴木雄一さん(反戦反天皇制労働者ネットワーク・山形)は、「東北(支配)と水産業」と題して報告を行った。山形「海づくり大会」は、二〇一六年岩手「国体」、二〇一八年福島「植樹祭」へと続く、復興(新秩序)と振興(侵攻)につながる、鎮撫と「富国強兵」政策に向うためのものである。「東北」、や「鼠ヶ関」(ねずがせき)という地名は、外敵の住む北のはずれを意味する蔑視感があふれている。さらに東北は戊辰戦争で朝廷にさからって以降、仙台におかれた第二師団を中心に経済と行政がつくられてきた。「海づくり大会」の式典会場である酒田市も製鉄業など軍需産業のまちとして形成された。東北は「明治」に二回の天皇行幸が行われたが、その目的は自由民権運動弾圧と軍隊の慰労が主であり、軍隊を通して天皇制が入ってくるという今と同様のことが行われた。山形「海づくり大会」は「森と川から、海にも直接、放射能汚染による生命の危機リレー」である。福島原発事故の凍土壁工事は失敗し、汚染地下水は流出し、さらに大量のタンクの汚染水を海洋投棄によるさらなる海洋汚染を隠蔽し、被害者切り捨てに対する天皇による鎮撫工作である。復興演出のための、天皇のための行事であると弾劾し、現地闘争への参加を呼びかけた。

天野恵一さん(8・15反「靖国」行動実)は、「天皇行事の政治的意図」と題して、「天皇の『生前退位』が発表され、今日は、偶然だが最初の反撃の集会となった。昭和天皇のXデープロセスは自粛騒ぎだったが、今回は天皇アキヒトが生きたまま始まった。皇室典範改正や天皇が生きたまま即位したり、元号が変わったりする。今後の天皇儀礼は、全部Xデープロセスとして演出される。棄民化政策、被災者の切り捨てを行いながら『震災の復興』を演出し、その総仕上げとして『復興』茶番の東京オリンピックが行われる。「共産党が、天皇出席の国会開会式に出席するなど護憲派の総崩れの中で、『違憲行為はやめろ』という土俵で共闘する運動をどのように作っていくかが問われていると訴えた。現地闘争への結集を確認して集会を終えた。

九月一〇日、一一日の「海づくり大会」当日には、「反戦天皇制労働者ネットワーク・山形」の主催で現地闘争が闘われた。

一〇日は酒田市総合文化センターで、各地から反天皇制を闘う仲間三〇人超が結集し集会を行った。会場の内外を公安刑事がひしめいているのは天皇行事の恒例である。

主催者は「天皇アキヒトの『生前退位』意向表明後初の「地方公務」であり、3・11以降東北での初めての天皇行事である。今回の「海づくり大会」の目的は、放射能汚染の隠蔽、東北復興を演出することである。山形『海づくり大会』に続いて、岩手、二〇一八年福島と続く天皇制攻撃を、東北全体ではね返す最初の闘いにしたい」と訴えた。

続いて酒田現地から報告を受けた。報告者は大連に生まれ、満州での戦時体験を今に伝える語り部でもあり、戦後、弁論大会で天皇の戦争責任を追及しようとした「どしょっぽね」の持ち主である。大連で経験した学校と教師と戦争と経済を、実体験を元に教師の変貌のあり方として断罪した。

続いて鶴岡からは、雑木林再生のために子どもたちと植林した天然林を「海づくり大会」のために刈り払いされたことや漁場汚染の実態が批判された。

反戦反天皇制労働者ネットワークの吉田宗弘さんは、二〇一三年水俣の「海づくり大会」は水俣病が発生した「水俣の海の再生」、二〇一二年沖縄は「復帰四〇年を祝う」という政治的目的が明らかであり、天皇の「公的行為」とは「政治行為」であると断罪した。

靖国・天皇情報センター、立川、筑波、三鷹、静岡、札幌の参加者から連帯とアピールを受けて、集会を終えた。翌日一一日は九時半から参加者の決意表明を受け、式典時間にあわせ、式典会場近くを通るデモ行進を行った。「天皇出席の海づくり大会反対」「天皇制はいらない」などシュプレヒコールを上げるデモ隊と大量の機動隊と公安は近隣住民の注目の注目を浴びた。機動隊も秋田や山口などから集められていた。

闘争後、天皇の車列のために私たちの車が通行妨害を受けるという事態まで体験したが、天皇代替わり攻撃、天皇制賛美報道の中で、「天皇制廃絶」の声をあげることの解放感を実感した闘いであった。

(野村洋子)