2018.8.15行動【よびかけ】「明治150年」天皇制と近代植民地主義を考える8. 15反「靖国」行動への参加・賛同の呼びかけ

二〇一九年四月三〇日明仁天皇「退位」・五月一日新天皇「即位」まですでに一年を切った。

四月初め、政府の式典準備委員会は「代替わり」儀式の基本方針を固め、明仁への「代替わり」のそれを今回も踏襲するとした。「即位の大礼」など五つの儀式を「国事行為」とし、「大嘗祭」は「国事行為」とはしないが、その「公的性格」に鑑みて、特別に公費を支出するという。政府や一部マスコミは、それが「政教分離」への配慮などというが、そもそも新天皇の即位儀礼とは、三〇にも及ぶさまざまな儀式の総体であって、その一部だけを切り離すなどということ自体無意味だ。私たちはまず、一連の「代替わり」儀式が、憲法上の「政教分離原則」と「国民主権」の原理を公然と踏みにじる、違憲の行為であるということを指摘しなければならない。そして、一連の天皇「代替わり」儀式は、日本が、天皇という世襲の君主を戴く国家であり、「国民」もまた天皇に象徴されることによって「国民」なのだということを再確認させる、最大の天皇制攻撃にほかならない。

そもそも、八〇歳を超える高齢となり、「天皇のつとめ」を充分全うすることができなくなったということを理由に、「生前退位」のメッセージを発し、退位特例法なる新たな立法すら実現させていったのが、この間の「天皇退位」の動きであった。にも関わらず天皇は、退位するその日まで、天皇としての「公務」や、皇室祭祀などを精力的に続けていく意思を示している。宮内庁がこの一年の間に、天皇としての「公的な活動」を、皇太子や秋篠宮に引き継ぐことを提案したが、天皇はそれに同意しなかったというのだ。

今年の三月二七日、明仁・美智子は沖縄・与那国を訪問した。この沖縄訪問を、マスメディアは相変わらず「慰霊の旅」などと描き出している。しかし、この地域は、対中国シフトをイメージした軍事的な拠点としてクローズアップされている。すでに二年前の三月二八日に、この与那国に陸上自衛隊沿岸監視部隊が設置され、そして天皇が沖縄に着いたまさにその日に、陸上自衛隊は全国の五方面隊を一元的に指揮する司令部として「陸上総隊」を発足させ、直轄部隊として「離島防衛」の専門部隊としての「水陸機動団」(日本版海兵隊)をおいている。与那国では、町内のあちこちに、自衛隊協力会によって、「奉迎」の横断幕が掲げられ、天皇が乗った車は、自衛隊与那国駐屯地の隊員によって、と列で迎えられた。また那覇の国際通りでも、自衛隊の陸・空特別編成音楽隊を先頭に、「日の丸」と提灯を掲げた四五〇〇人の奉迎パレードが行われている。「平和主義」イメージとは裏腹に、天皇と軍隊との軍隊との結びつきは、より露骨に現れていたのだ。

明仁はまた、六月九日には、全国植樹祭への出席に伴って福島県を訪問し、さらに八月五日には、アイヌモシリが「北海道」と命名されてから一五〇年を記念する式典が行われるのに合わせて札幌を訪問し、その前後に離島・利尻島を訪ねる計画となっている。

明仁は昨年八月のビデオメッセージで、「とりわけ遠隔の地や島々への旅も、天皇の象徴的行為として、大切なもの」と述べていた。天皇としての「最後」の訪問地としてこれらの地域が選ばれていることは象徴的である。沖縄と北海道は、近代天皇制国家の出発にあたって、「日本の版図」に編入された地域であり、その一五〇年間の歴史には、日本帝国による国内植民地支配の経験が刻み込まれている。その地域と住民(先住民)を、あらためて日本の「国土」・「国民」として再統合していく「象徴的」な行為として、天皇の訪問はあるのだ。そして侵略戦争と植民地支配の歴史を後景化させる方向での歴史の「清算」は、日本の近代全体を、文明化と経済発展の軌跡としてひたすら明るく描き出そうとする、政府の「明治一五〇年」賛美の動きと連動するものだ。

さらに、明仁天皇がこだわってきたとされるのが「戦没者慰霊」である。今年の八月一五日の全国戦没者追悼式は、明仁にとっては、天皇として最後の式典出席となる。全国戦没者追悼式は、戦争の死者を、戦後日本の発展をもたらした「尊い犠牲者」と賛美することによって、その死を美化し顕彰する儀式にほかならない。その意味において、軍人・軍属(戦闘協力者)の死者を「英霊」として祀る靖国神社と同質のものだ。

8.15反「靖国」行動は、国家による「慰霊・追悼」を撃ち、天皇制の植民地支配、戦争・戦後責任を批判し抜く行動として取り組まれてきた。日本が、戦争法や治安法を整備し、海外における米軍への協力活動など、実際の軍事行動に踏み込んでいる現在、国家にとって「新たな戦争の死者」をどう位置づけ、利用していくかという課題は、ますます現実的なものとなっている。国家による「慰霊・追悼」それ自体が、戦争準備の一環をなしているのだ。そして「代替わり」に伴って新たに登場する新天皇が、そこでどのような役割を果し、また果すことが期待されているのかを問うていかなければならない。

8.15反「靖国」行動をステップに、「明治一五〇年」から「代替わり」諸儀式に具体的に反対していく運動を強化し、向こう側からの「平成の総括」を批判しぬき、天皇「代替わり」を契機として創り出される天皇制社会の時間と空間に抗していく、私たちの自由を取り戻す闘いを準備しよう。8.15反「靖国」行動実行委員会への多くの参加・賛同、協力を!

「明治150年」天皇制と近代植民地を考える8・15反「靖国」行動

[呼びかけ団体]

アジア連帯講座/研究所テオリア/戦時下の現在を考える講座/立川自衛隊監視テント村/反安保実行委員会/反天皇制運動連絡会/「日の丸・君が代」の強制反対の意思表示の会/靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動者評議会