「立皇嗣の礼」反対行動【アピール】天皇も跡継ぎもいらない 11.8「立皇嗣の礼」反対緊急行動アピール

10 月9 日、政府は、延期していた「立皇嗣の礼」を11 月8 日に開催する旨閣議決定した。さらに閣議では、祝意を表すため、当日各府省で「日の丸」を掲揚するほか、地方自治体や学校、会社などに掲揚への協力を求めることも決めた。また、衆参両院は、「立皇嗣の礼」に祝賀の意思を表す「賀詞」を、本会議において決議した。

「立皇嗣の礼」は、秋篠宮が「皇嗣」となったことを宣言する「立皇嗣宣明(せんめい)の儀」、天皇にお礼を述べる「朝見の儀」、賓客を招いた祝宴「宮中饗宴(きょうえん)の儀」(都合二回)などからなる儀式で、それぞれ皇居宮殿・松の間で、「国の儀式」として行われることになっていた。今年の4 月19 日に行われる予定になっていたが、新型コロナウイルスによる「緊急事態宣言」体制の下で延期され、「収束状況を踏まえてあらためて日程を決める」としていたものだ。しかし、コロナ状況の「収束」など一向に見通せていないにも関わらず、饗宴の儀を中止し、宣明の儀の参加者も350 人から50 人に減らすなどして儀式を断行しようとしているのだ。

この儀式は一連の「天皇代替わり」の最後の儀式として位置づけられることから、2016 年の明仁の「退位意向表明」から始まった天皇主導の「Xデー」に区切りを付け、天皇・上皇・皇嗣からなる「新しい時代」の天皇制の開始を告げるためのものである。すなわち、明仁が退位し、徳仁が新天皇に即位し、文仁が次の天皇となることを宣言するということで、天皇制という制度は、これからもこうして永続していくのだということを、多額の税金を投入して確認し宣伝するのだ。それは当然、女性宮家容認、旧皇族の復活など、天皇主義者の間でも割れている今後の天皇制のあり方に関する議論(「皇室典範」見直し)とも連続するだろう。

そもそも「立皇嗣の礼」なるものは、何かと言えば「伝統」を重んじるという天皇家にとっても、前例のない儀式である。それは「立太子の礼」に準ずるものしてなされようとしているが、「立太子の礼」もまた現行の皇室典範にすら規定のない、全く不要であり違憲の儀式であることを確認しておかなければならない。

近代天皇制においては新天皇の即位後に、次の皇太子に対する儀礼である「立太子の礼」がこれまで4 回行われてきた。戦前には立太子にまつわる詳細を定めた立儲令というものがあったが、これに基づいて儀式を行ったのは昭和天皇だけであり、同令も1947 年に廃止されている。

そして多くの天皇制の儀式がそうであるように、この儀式も皇室祭祀と結びついたものである。「立皇嗣宣明の儀」の後で天皇から受け取る壺切御剣(つぼきりのぎょけん)は、「皇嗣」の「護り刀」であり、これを受けて初めて「皇嗣」は、「天神地祇」や「皇祖神」などを祀った宮中三殿の殿上に昇ること(昇殿)ができるようになる。これが彼らにとって重要なのは、11 月23 日に宮中で行われる新嘗祭などの神事に、天皇と「皇嗣」がともに神に奉仕することが必要だからだ。政府は、それらは天皇の「私事」の世界であると言い張るが、新嘗祭には三権の長や閣僚も参列しており、国家が天皇教に関わる、明確な政教分離違反の儀式である。

私たちは、延期になった4 月19 日にも、皇居の見える東京駅丸の内口の広場において、「『立皇嗣の礼』は延期じゃなくて中止だ! 身分差別と格差を温存し拡大する天皇制は廃止だ! あらゆる人びとへの生活と命の保障を!」と訴えた。そして、天皇出席の「全国戦没者追悼式」に反対するデモに取り組んだ私たち反天皇制運動の実行委は、本日、「立皇嗣の礼」に反対する反天皇制デモに出発する。天皇も跡継ぎもいらない。コロナ禍における違憲の「立皇嗣の礼」の強行に、われわれは強く抗議する。

2020 年11 月8 日
国家による「慰霊・追悼」を許すな! 8.15 反「靖国」行動