今年の8.15 反「靖国」行動は、「『代替わり』過程で天皇制と戦争を問う」をメインに掲げて行われた。実行委の立ち上げの時期が、ちょうど「天皇退位特例法」の国会上程の時期に重なったため、私たちは「8.15 行動(準)」として、「退位特例法」に反対する行動に取り組むことになった。具体的には、実行委で呼びかけ、約四〇団体が連名した「国会議員宛申し入れ」と「天皇明仁宛抗議文」を、同法案が国会提出された五月一九日にマスコミ各社に一斉配信、同二二日に衆参国会議員全員にポスティング、二五日には国会議員会館前でアピール行動をもち、その後内閣官房に移動して天皇に対する抗議文提出行動をおこなった。
そして、退位特例法が衆院を通過し、参院で審議されるタイミングで行われた六月三日の吉祥寺デモ(三多摩の仲間たちの実行委員会によって取り組まれた)に参加・協力するとともに、翌日四日には、在日本韓国YMCAで岡田健一郎さん(憲法学、高知大学教員)と中村利也さん(差別・排外主義に反対する連絡会)を発言者として、「新たな『天皇代替わり』に抗う討論集会」をもった。同法は結局、六月九日の参院本会議で可決・成立させられてしまったが、その法案は、第一条に「国民」は天皇を「深く敬愛」し、今回の「お気持ちを理解し、これに理解し共感」しているという、異例づくめの法律だった。
当然、このような状況に対して、各地で天皇制反対のさまざまな声が上がっている。少数とはいえ、天皇が、政治にたいして積極的な働きかけをしていることに、一定の危機感を感じる人が増えていることは間違いない。
8.15 前段集会は、一一日に文京区民センターで「天皇制と戦争:アキヒトにも責任はある!」と題して行われ、日本近現代史研究の伊藤晃さんに、「戦後天皇制と戦争を問う」をテーマとして問題提起をしていただいた。
8.15 当日は、あいにくの雨。私もこの三〇年ほど8.15 行動に参加しているが、こんなに降ったのは、一回くらいあったかどうか。
在日本韓国YMCAにも一〇〇人を超える人がつめかけ、安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京、「日の丸・君が代」被処分者の都立学校教員、米軍・自衛隊参加の東京都総合防災訓練に反対する実行委、沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック、日韓民衆連帯全国ネットワーク、辺野古リレー・辺野古のたたかいを全国へ、「2020オリンピック災害」おことわり連絡会から、次々とアピールを受けていった。
デモには一六〇人の参加。雨のせいで例年より少ない。しかし、九段下に陣取って「カウンター」と言っている右翼・レイシストのほうは、これはもう、目に見えて動員力を低下させていた。もともと、ここに集っていた圧倒的多数が、確信的な右翼・レイシストというよりも、「反左翼」の野次馬たちであってみれば、それも当然だろう。ちなみに、「在特会」も二手に分かれていたが、これは内部対立による分裂行動でもあるらしい。
また、街宣右翼によるデモ妨害・暴力は、例年に比べれば激しいものではなかった。右翼を口実にした機動隊のデモ規制はあいかわらずであったが、右翼とデモ隊との物理的な「接触」を避けようという警察の姿勢が今回はとくに目立った。マスメディアでも取り上げられた、昨年一一月の吉祥寺デモが激しい右翼暴力に見舞われ、その事実を広く知らせることで反撃していったことが、公然と右翼を泳がせる権力に対する歯止めとなったか。あるいは、天皇「代替わり」過程では、右翼暴力と天皇制との結合が露骨に見えるのはまずいという判断もあるのか。検討が必要なところだ。
8.15 を終えて実行委として一段落するところだが、すでに「代替わり」過程の総体を撃つための運動をめざして、次の行動の準備が始まっている。
一一月二六日には、首都圏の仲間たちと協力して「終わりにしよう天皇制 11 ・26 集会・デモ」を行なう。また、一〇月二八・二九日には、福岡「海づくり大会」反対の集会とデモが、地元で長く反天皇制運動に取り組んできた「天皇制に問題あり!福岡連絡会」によって呼びかけられている。私たちも、そこに合流していく。
これらの反天皇制の行動の中で、多くのみなさんと出会い直していくことを願っています。
(北野誉)