2017.2.11行動【よびかけ】天皇制はいらない!「代替わり」を問う2.11反「紀元節」行動への参加・賛同を

七月一三日のNHKの報道、そして八月八日の明仁天皇自身のメッセージ読み上げによって、いわゆる「生前退位」をめぐって、次代の天皇制をどのように再編成していくかが、支配階級にとっての大きな課題となった。

明仁の最大のメッセージは、「天皇が象徴であると共に、国民統合の象徴としての役割を果す」こと、すなわち、天皇制はたんに、いまある「国民統合」を象徴しているだけの受動的な存在なのではなくて、あるべき「国民統合」を積極的に作り出す存在であるということである。そしてそれは、「地方への旅」や式典での「おことば」、国内外における「慰霊」や「海外親善」などをこなしてきた天皇自身の自負に支えられている。しかし、それら「天皇の象徴的行為」なるものは明確な憲法違反の行為である。天皇の行為は、憲法に具体的に明記された名目的かつ儀礼的な「国事行為」のみに限定されており、そうしてはじめて天皇制の存続は許された。政府は「生前退位」などを論議する「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」を発足させ、すでに一六人のヒアリングを終えて、メンバーによる論点整理に入っている。一二月七日の第六回会合では、「公的行為」については、その時々の天皇が「自らの考えで程度、内容などを決めていけばよい。天皇、時代によって異なるべきだ」との認識でおおむね一致し、また、ヒアリングで賛否が拮抗した「生前退位」については、一定の条件を付けたうえで容認すべきだとの意見が出たと報じられている。「公的行為」の内容を天皇が決めてよいというこの見解は、きわめて驚くべきことである。それは、内閣の「助言と承認」のもとにしかその行為をなしえない天皇の地位を、能動的な君主へと変更することを意味するからだ。

まだ結論は見えないが、当初、すぐにでも「皇室典範」改正まで進むかのように見えた「生前退位」をめぐる論議が、「一代限り」「特例法」の線にまで「後退」していくにあたっては、その保守的家族観から男系主義に固執する安倍をはじめとする右派勢力の引き戻しがあっただろう。しかしわれわれは、このような論議の土俵を先制的に作り出したものが、天皇それ自身の言葉であったということを、再度確認しておかなければならない。

すでに、「平成三〇年」にあたる、二〇一八年中の「即位・大嘗祭」が日程として上り始めている。現天皇の「大嘗祭」は、「国の行事」ではなく「皇室の行事」とされたが、「公的な行為」として臨時の予算が国から支出された。「大嘗祭」や、「即位」にともなう「三種の神器」の承継儀式などは皇室神道の儀式であり、国家が宗教的行為を行うことを禁じた憲法の政教分離原則の侵害にあたる。そして二〇二〇年には、天皇を名誉総裁として戴く東京オリンピックが開催され、それが新しい天皇の、国内外における大舞台のデビューとなるだろう。

こういった「公務」の拡大を通じた天皇の「元首」然としたふるまい、公然たる政教分離違反の皇室祭祀の前面化などが、安倍政権の下ですすめられようとしている改憲プランと、その点においては一致していることは明らかである。天皇の「平和主義」は、国際貢献や「積極的平和主義」の名のもとで拡大している、日米同盟のもとでの自衛隊の海外派兵という現実と矛盾することはない。実際に明仁天皇は、PKOに参加した自衛隊員などへの「接見」を、何度も「公務」として行なっている。そして、8.15をはじめとする、天皇による戦争の死者に対する「慰霊」は、再び戦死者が生み出されようとしているこの時代にあって、殺した国の批判ではなく、国のための死の「尊さ」を謳い上げるための儀式とならざるをえない。このような状況のなかで、われわれは、2.11反「紀元節」行動に取り組む。いうまでもなく「紀元節」は、神武天皇の建国神話にもとづく天皇主義の祝日である。宮中祭祀としての「紀元節祭」は戦後とりやめとなったが、現在も「臨時御拝」の名で、同様の宮中祭祀が続けられている。それは、日本は天皇を戴く国であるという、イデオロギー的な基礎を、安倍を含む右派勢力に広く提供し続けているのだ。

「天皇代替わり」状況と、それにたいする抵抗はすでに開始されている。「代替わり」に反対する吉祥寺のデモは、大量の右翼の襲撃と、それを容認する警察による厳しい規制に見舞われた。その存在が引き起こす人権侵害に反撃し、「天皇代替わり」過程の総体にどう向き合っていくかが問われている。この2.11を出発点として闘いを開始しよう。

天皇制はいらない! 「代替わり」を問う 2・11反「紀元節」行動

【呼びかけ団体】アジア連帯講座/キリスト教事業所連帯合同労働組合/研究所テオリア/市民の意見30の会・東京
スペース21/戦時下の現在を考える講座/立川自衛隊監視テント村/反天皇制運動連絡会/「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/ピープルズ・プラン研究所/靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動者評議会