今年も二月一一日反「紀元節」行動の日を迎えた。今年の名称は「安倍戦争国家と天皇制を問う2・11反『紀元節』行動」とした。会場は、「反『紀元節』行動」では初めての神宮前穏田区民会館(原宿)である。当日は、原宿駅を明治神宮側に降りて、集会場に行く時、「日本の建国を祝う会」主催の「建国記念の日奉祝パレード」に遭遇した。パレードは日の丸を掲げ、いつも私たちのデモの反対側にいて、日本会議や神社本庁など天皇元首化などの改憲運動をすすめる人たちであり、改めて集会開催地がそういう場所であることを実感した。
集会場は、例年右翼の街宣車が怒鳴り立てているが、今年はそういう場所だからか、警察の規制のためか静かで、集会開始前にハンドマイクを持つ七〜八人が来たのと、終わり近くに離れた位置で街宣があっただけであった。参加者は会場いっぱいの約一〇〇人で熱気あふれる集会となった。
講師は「戦争国家と天皇の『慰霊』─『戦没者』における受難と貢献」を須永守さん(近現代史研究)が行った。講演は、「8・15」反靖国行動に繋がるようなテーマであり、重要な提起であった。残念だったのは都合で質疑ができなかったことである。
講演後はさまざまな取り組みを行う各団体─「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会、福島原発事故緊急会議、2016 3・1集会実行委員会、STOP辺野古埋め立てキャンペーン、有事立法・治安弾圧を許すな!北部集会実行委員会、3・11行動実行委員会から連帯のアピールを受け、今年も反天皇制の声をあげつづけようと確認してデモに出発した。
警察は、会場を出たところから「横断幕を巻け!小さくしろ」と横柄な態度で規制を始めた。今回の警察は、これまでと全く違い、「市民警察」の装いをかなぐり捨てて、デモ参加者に暴言を吐き、指示・命令を繰り返し、突き飛ばすなどの暴力をふるい治安警察の本性をあらわにした。とにかくデモの宣伝カーと隊列を分断し、車には連絡係のみならず弁護士を含めだれも近づけなかった。車は、少しでもスピードを落とすと機動隊によって車の窓をバンバン叩かれ、指揮者から警告も出された。例年は右翼が車を叩き、妨害するのだが今年は街宣車など右翼の攻撃はほとんどなく、警察の暴力性だけが突出した。例年は最後尾の参加者を「圧縮」といって押していたが、今回は前から、後から、横からも押され、突き飛ばされるなど暴力をふるわれ、その上、「お前ら」「こいつらをさっさと歩かせろ」などの暴言も終始吐かれた。弁護士を取り囲んで動けなくしたり、「デモ申通り行け」「許可条件を守れ」「デモを許可したのはおれたちだ」など警察は言いたい放題であった。まさしく安倍政権の戦時下での「基本的人権」「表現の自由」は警察の統制下にあることを示しており、まるで警察によるデモ隊を完全にコントロールする訓練のようだった。そのような警察の暴力、暴言を跳ね除け、「建国記念の日反対」「天皇制いらない」の声をあげつづけ、渋谷までデモを貫徹した。
実行委員会は、今回のような警察のデモへの規制に抗議をすることを決めている。4・28-29行動も厳しい攻撃が予想されるが、安倍政権が戦争・改憲に突き進もうとする今こそ反天皇制の声を大きくしていかなければならない。大きな声で反戦、反天皇制を訴えよう。
(野村洋子)