2014.8.15行動【報告】反「靖国」行動:報告と抗議声明

八月一五日に行なわれた「安倍戦争国家の『追悼』を許さない!8・15反『靖国』行動」は、今回も警察の厳しい規制や右翼らによる執拗な妨害を受けましたが、けが人などを出すことなく、安倍政権への抗議や反靖国、反天皇制の声をあげていくことができました。今回の集会への参加者は二二〇名、デモへの参加者は二五〇名を数えました。厳しい時代状況の中、この集会とデモに参加された皆さん、また、ご支援、ご協力いただいた皆さんに、心からお礼を申し上げます。

今回の行動に対する警察の警備により、大騒音をかきたてる右翼団体の大型・小型の街宣車については、集会会場やデモ行動から遠ざけた位置で規制されました。しかし、いつものごとく警察の警備行動は、在特会らのレイシストグループにはその街宣の場所を確保するものであり、さらに、右翼団体構成員らがデモ行動につきまとい暴行することに対しては、きわめて恣意的な判断で、ある程度自由にやらせるという警備が実施されました。

それは、参加者の身体を著しく傷つける暴力を振るおうとすることに対しては一応止めようとするものの、宣伝カーへの攻撃や参加者のもっているプラカードの強奪などは黙認するというものでした。こうした矛盾に満ちた警備体制のもと、多くの右翼が、歩道のみならず車道をデモ隊と並走し、ヘイトスピーチを含む暴言を投げ続けました。この場で現実に繰り広げられたのは、宣伝カーに対する器物損壊であり、デモの横断幕や旗竿・プラカードなどの強奪と破壊であり、これら暴行に伴う「殺せ殺せ」という脅迫であり、参加者に掴みかかって衣服を破ったり、蹴りや殴打を加えるなどの直接的な暴力によるデモ行動の妨害でした。さらにこれは、重装備の若い機動隊員をも怯ませるほどの暴力の行使でもありました。

そして、このような右翼団体構成員による暴力が、警備の警察官によって一旦は抑止されても、暴行を加えた同一人物が公安の私服警察官と談笑しながらデモに並進し、警備の隙を狙っては形相を変え何度もデモ隊列に向かって突進するという醜悪きわまる光景を、私たちは幾度となく目撃し、また、身をもって体験させられました。

大阪府警が刑法犯の認知件数を大幅に過少に報告していたという問題が七月末に明らかになっています。このように警察では、事件捜査においても、証拠や調書の扱いにおいても、統計事実の扱いにおいても、恣意的な権力行使と隠蔽が常習化しています。明白な右翼の暴力を見過ごすことも、これと軌を一にする問題だと言えるでしょう。

私たちのデモもそうですが、近年、数多くの表現や行動が右翼暴力団やネット右翼などのグループによる暴力にさらされています。しかし警察は、その目の前でふるわれている暴力を見過ごして立件しようとせず、かえって、国家に対する異議申し立てを行う運動、右翼の暴力に抗議する運動に対して、厳しい弾圧を実施してきました。公安警察などによる違法なビデオ撮影も、右翼の暴行を撮影するというよりは、一貫してデモ隊の参加者の特定のために行なわれていました。

これらの事実は、日本国憲法における表現の自由を著しく侵害するものです。また、私たちのみならず、右翼や警察官を除くすべての人々においても、警察の行為に不信感を抱かせるものです。八月二〇日、二一日に開催された国連人権高等弁務官事務所における人種差別撤廃委員会においても、レイシストの側を守るかのような警察による権力行使が誤っていることについて、厳しく指弾されています。

私たちは、右翼暴力団、レイシストグループらによるデモ行動への攻撃を許しません。そして、こうした右翼の暴挙をむしろ勧奨するかのような、公安・警備の警察官の行動を強く弾劾します。

2014.8.15【報告】安倍戦争国家の「追悼」を許さない! 反「靖国」行動報告

八月一五日、私たちは今年も、「安倍戦争国家の『追悼』を許さない!反『靖国』行動」を、二五〇人の結集(集会二二〇人)をもってかちとった。

何度も繰り返していることだが、私たちの行動は、右翼とそれを利用した警察の介入によって、ひどい妨害を受け続けている。天皇制の戦争責任・戦後責任、今に続く植民地支配責任を問い、靖国と戦争国家による「追悼」を批判するという行動のテーマと同時に、あるいはそれ以上に、「天皇制批判」「靖国批判」を、私たちの言論・表現の自由としてふつうに訴えることが、困難さを伴う目標となってきているのは事実である。その意味で「かちとった」というのは、偽らざる実感である。

それでも、私たちの行動の目的は、やはりデモをすることだけではありえない。この課題に関する議論の場を作っていきたい。それで私たちは今年は、実行委としてふたつの前段集会をもった。ひとつは、六月二六日に、沖縄国際大学名誉教授の石原昌家さんをお招きしての講演会「天皇の沖縄訪問反対!沖縄戦・『対馬丸』事件の責任を問う 6・26集会」(渋谷勤労福祉会館)。

これは、六月二六〜二七日にかけて天皇夫婦が沖縄を「慰霊」訪問し、学童疎開船「対馬丸」記念館を参観するということにたいする反対行動として取り組まれたものである。それは、沖縄戦における、強いられた住民の悲劇であり、同時に戦争の被害者を「協力者」として「慰霊・顕彰」する「援護法」行政(その結果としての靖国合祀)という問題でもある。「慰霊よりも謝罪を」というのが私たちの立場だ。詳しい内容は、なんらかのかたちであらためて出していきたいと考えている。

次いで七月二一日には、笹塚区民会館で「安倍戦争国家の『追悼』を許さない! 8・15反『靖国』行動に向けて」と題した討論集会をもった。これは、例年八月一五日に、さまざまな取り組みを続けているグループから発題してもらい、靖国問題、「戦没者追悼」問題をどうとらえているのか、会場も交えて意見を交換していこうという趣旨だ。発言は、高橋武智さん(日本戦没学生記念会・わだつみ会)、荒井克浩さん(日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会)、村上らっぱさん(靖国解体企画)、北野誉(本実行委)。政教分離原則、「追悼」や「黙祷」のもつ意味、無宗教の「新しい施設」の評価など、8・15当日の行動に直接関わりを持つ、突っ込んだ議論がなされた。

そして迎えた八月一五日当日の行動。集会は、北村小夜さん(元教員)と天野恵一(本実行委)の問題提起。連帯アピールとして、「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会、辺野古への基地建設を許さない実行委員会、福島原発事故緊急会議、安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京、「公安は天皇のための尾行をやめろ!」共同声明実行委員会、差別・排外主義に反対する連絡会、反安保実行委員会、「動き出した日朝交渉いまこそ国交正常化へ!」9・13集会実行委員会。さらに「平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動」に参加するために来日していたドイツ人牧師・ポール・シュナイスさんにもご発言をいただいた。

「集会宣言」が読み上げられ、九段方面へのデモに出発。今年も、街宣右翼によるデモ妨害はひどく、宣伝カー、横断幕やプラカードがひっきりなしに襲撃される。また、在特会などは九段下交差点に陣取り、ヘイトスピーチを含む罵声を浴びせ、ペットボトルなども投げ込まれる。

さらに警察による、右翼を利用したデモ規制や違法なビデオ撮影なども相変わらずだ。8・15実行委は解散するが、警察権力による不当なデモ弾圧に対して反撃の準備を始めている。とりあえず、実行委としては、別掲の抗議声明をまとめた。これ以外にも、東京都公安委員会への苦情申し立てをはじめ、継続して問題化していきたいと考えている。この点についても、ブログなどで、近く報告できると思う。

(北野誉)